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思い出のサーバーの引退(HVD SCSI)

作成日: 2012年3月18日
更新日: (なし)

HVD SCSIによる共有接続

先日、あるサーバーが経年劣化のため新型機と交換となり引退しました。 その引退したサーバーは私が新入社員の頃に初めて(ほぼ)独力でセットアップした思い出深いサーバーでした。 改めて眺めると今では絶滅した技術を使った少し変わった構成をしていたので、思い出と共に記録しておきます。

絶滅した技術とはSCSIです。 SCSIの遺伝子はSAS、F/C、iSCSIなどに受け継がれましたが、物理インターフェースの規格としては絶滅してしまいました。 少し変わった構成というのは、SCSIの中でも古い規格で使われていたHVD(High Voltage Differential)という転送方式のアダプターを使い、LTOオートローダーを2台のサーバーで共有接続していたことです。 実は思い出のサーバーは2台構成で、2台のUNIXサーバーをクラスタリング・ソフトを使ってアクティブ・スタンバイで動かしていました。

サーバー背面の画像

左の画像の一番上に写っているのが2台のサーバーから共有接続されていたLTOオートローダーです。 共有接続と言っても2台のサーバーから同時に使えるのではなく、アクティブなサーバーがどちらに切り替わっても結線の変更なしに使用できるという形態です。

LTOオートローダーの背面左側に付いている黒いボックスはHVDコンバーターです。 LTOオートローダー本体はより転送速度が優れたLVD(Low Voltage Differential)の転送方式を使った機械で、HVDコンバーターを装着することでHVDの機械として動作するという代物でした。

マニュアルの構成図の画像

この構成はベンダーのマニュアルでは「High-Availability Multi-Initiator SCSI-2 Fast/Wide Differential Cabling」と呼ばれていました。 マルチ・イニシエーターというのが特徴的で、通常はSCSIバスに1つしかないイニシエーター(SCSIアダプター)がアクティブ・スタンバイの2台分で2つ存在する構成になっています。

図で「5」と示されているのがターミネーターで、「Device」がLTOオートローダーにあたります(図では2台ありますが実際の構成では1台です)。 1つのSCSIバスが2台のサーバーを跨がっていて、その間にLTOオートローダーが挟まっている形です。

LTOオートローダーのHVDコンバーターの画像

右の画像はLTOオートローダーのHVDコンバーターをアップしたものです。 2つのコネクターはアクティブ・スタンバイの2台のサーバーのSCSIアダプターと繋がっています。

セットアップは一発で上手く行かず、サーバーで/dev/rmt0や/dev/smc0が100個くらい認識されてパニックになったことを憶えています。 原因はそもそも物理結線が間違っていたのと、図に記されているようにサーバーのSCSIアダプターのH/Wピンを外してアダプター上のターミネーターを無効化していなかったためでした。

当時は誰もこんな超マイナーな構成をやったことがなくて、正解が分かって上手く構成できた時の達成感は素晴らしいものでした。 ただ、二度と同じ構成を使ったサーバーを組むことはありませんでした。 あれから6〜7年経ってSCSIは姿を消してしまいました。 LTOは当時の初代LTOから現在のLTO5へ進化して元気にやっています。 引退したサーバーを見て新入社員の頃を思い出すと共に技術の変遷を感じたのでした。

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更新日 更新内容
2012年3月18日 新規作成