Windows Server 2003の時刻同期設定

作成日： 2012年3月17日
更新日：（なし）

イベントログに時刻同期失敗のエラー

久しぶりにWindows Server 2003をサーバーへ導入することになりました。 2008 R2ではなく、2008でもなく、2003 R2ですらない2003です。セットアップ後、懐かしいエラーが出ていました。

　イベントソース：W32Time
　イベントID：17
　説明：タイムプロバイダ NtpClient: 手動で構成されたピア 'time.windows.com,0x1' の DNS 参照中に
　予期しないエラーが発生しました。 240 分後に再試行します。エラー: 到達できないホストに対して
　ソケット操作を実行しようとしました。 (0x80072751)

昔はこんなエラーを見た日には良く分からなくてイベントログを丸ごと削除して放っておいたものです。今ではそんなフーリガンみたいな対応はできません。 NTPサーバーが社内に設置されているので、セットアップしたサーバーにNTPサーバーとの時刻同期を設定してやることにしました。

時刻同期ができません

デスクトップ右下の時刻をダブル・クリックすると出てくる「日付と時刻のプロパティ」の「インターネット時刻」のタブで設定できそうです。「サーバー」のフィールドに社内のNTPサーバーのIPアドレスを入力して「今すぐ更新」をクリックすると、待ってましたと言わんばかりにエラーが発生しました。 Windowsはいつもこういう具合なので病みつきになってしまいます。

セットアップしたサーバーはドメインに参加していません（Workgroup）。 NTPサーバーはLinuxサーバーで、ポート123番でntpdが動いています。両サーバーはpingレベルではしっかり導通できています。

KB875424と時刻同期設定

ネットで調べるとMicrosoftのサポート技術情報にWindows Server 2003でWindows以外のNTPサーバーとの同期が成功しない（KB875424）がありました。このKBと他の先達の情報を合わせると、標準的なNTPにはいくつかの動作モードがあり、Windowsの時刻同期はさらに独自の動作モードを追加しているようです。そしてWindows Server 2003のデフォルト設定がWindows独自の動作モードになっていて、「普通のNTPサーバー（何の落ち度もないNTPサーバー）」と時刻同期できないということでした。この時代のMicrosoftの悪い志向性です。

設定は簡単で、KB875424通りにDOSプロンプトから以下のコマンドを実行するだけでした。

w32tm /config /manualpeerlist:＜同期先NTPサーバーのIPアドレス＞,0x8 /syncfromflags:MANUAL
net stop w32time
net start w32time
w32tm /resync

この設定のミソは、w32tmコマンドの＜同期先NTPサーバーのIPアドレス＞の後に指定している「0x8」というオプションです。このオプションが動作モードを指定しています。デフォルトの値は「0x1」となり、KB875424の記述では「特別なポーリング間隔 SpecialIntervalを使用」という神秘的なWindows独自の動作モードにあたります。

「0x8」は標準的なNTPの「サーバー・クライアント・モード」にあたり、NTPクライアント（今回はエラーが出たWindowsサーバー）がNTPサーバーへ時刻同期の要求をかける動作モードとなります。この動作モードが欲しかった設定です（少なくとも95%の人が欲したはずです）。

w32tmコマンドの実行とw32timeサービスの再起動後、あのプロパティにあった「今すぐ更新」をクリックするとしっかり同期してくれました。

Windows Server 2003をリリースした頃のMicrosoftはとても唯我独尊的な感じでした。新世代のWindows Server 2008やWindows 7ではMicrosoftの独自路線が薄まっていて、デフォルトの値は「0x9」です。これは「0x1」と「0x8」の両方の動作をするものだそうです。

あの強気だったMicrosoftもユーザー・フレンドリー（死語？）になったものです。 Microsoftを変えたのは、やりたい放題にやっていた結果、ユーザーの声に耳を傾ける新しい競争相手（FirefoxやGoogleなど）に敗戦を重ねていったからだと思います。時刻同期のデフォルトの値にも意思や思想が滲み出ていて面白いです。

更新履歴

更新日	更新内容
2012年3月17日	新規作成